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森のフォーラム

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Re:短編小説
虎縞
[ID:tigerhalfowl]
ギャアアアス!!スレ主に誉められとる!!毎度お邪魔しまして申し訳ありません。ありがとうございます。また書き残します。

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「お帰りなさいテルミドール」
 この部屋には何も無かった。パリの片隅で、僅かな家電とクローゼット、スチールパイプで出来た白いベッド。俺達以外はそれしか無かった。
「ああ」
 俺達にも何も無かった。同棲しているので多分恋人なのだが、何にも無さ過ぎてそれもちょっと違うという気がした。別にイヴについて何を知りたいとも思わなかった。それは多分、俺が自身について何も話したくないからだ。彼女も俺について何も聞かず、自身についても何も喋らなかった。
 イヴが作った夕食を食べた。俺達が食べる食事は常に、家で自炊しようが外で食べようが味が無かった。彼女もそれについては頷いた。味付けは勿論してある。ただ、俺や彼女の味蕾が機能していないだけだ。
 食後、片付けをする間彼女が先に風呂に入った。片付けを済ませ煙草を吸うと、イヴが上がった。交代で俺が風呂に入った。風呂から出て電気を消すと、洗濯機を回した。部屋の電気と風呂場の電気を着け、イヴがドライヤーを使ったまま洗濯機を回そうとするとすぐにブレーカーが落ちる貧弱な家なのだ。
 適当に眠くなったところで、明かりを消し二人でベッドに入った。二人で抱き合って目を閉じた。何も無い部屋で、何も無い俺達だけど、俺達の存在だけは真実だった。うっすらと目を開けた。何も無い部屋に注ぎ込んで来る月の光が明るかった。その光に劣情を掻き立てられ、イヴの背中を指先だけで撫でた。それが合図だった。
 終わると改めて眠くなった。眠くて服を着るのも面倒になり、二人で裸のまま布団にくるまって眠りに落ちた。何も無い、このだだっ広いパリの片隅の何も無いボロアパートの中、ただ互いを温め合うようにして抱き合う俺達だけが真実だった。

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ずっと何かの形で残したかった話。何も無い二人の話です。退廃的なほど何にも無くていっそ清々しくそして虚しい。何も喋りたくないだけで彼らにはちゃんとパリに来た理由があるんですが、自発的に喋る事はないでしょう。真実は二人が生きていて互いを温め合う事だけです。

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