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森のフォーラム

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Re:短編小説
かんな
[ID:ballet03]
雲がやけに灰色に見えた。
よく見るとそれは煙だった。
彼女を閉じ込め、蝕み、尚上に向かうそれはしかし、風に当たれば簡単に揺らぐ。

思うところがあった。
一体、彼女の一生はなんだったのだと。

僕と彼女は呼び捨てはおろか、名前で呼ぶような関係ですらなかった。
話したのも数えれば両手で足りる回数で、こと悲しむ程の近さではなかったのかもしれない。

(それでも僕は彼女について、知りすぎるくらい知っていて。)

彼女はあの日、何を言われたのだろう。
彼女によく似た女性。
彼女に全てを与え、奪ったあの人は、あの美しい笑顔で彼女に何を告げたのだろう。

あの人は今日も姿を現さない。
罪悪感か、無関心か。
どっちだって構わない。
どうせもう、彼女がこの無惨な光景を見ることはないのだ。

思うところがあった。
あの人に生み落とされた彼女があの人の言葉により死ぬことは、果たして幸せだったのだろうか。

僕と彼女はキスはおろか、手を繋ぐような関係ですらなかった。
しかし僕は覚えている。
彼女の涙に、確かに温度があったのを。

辛かったのか。
悲しかったのか。
悔しさやら憎しみかもしれない。
若しくはもっと、僕の知らない感情。

彼女の器からじりじりと、焦がれるように溢れたそれらは、そして彼女を殺した。
無への回帰。
或いは剥離?

思うところがあった。
彼女は最期に何を思ったのだろうか。

愛だろうか、絶望だろうか。

喜劇とも悲劇とも取れない(しかしどちらにも取れる)彼女の一生は。
16という短く、細い彼女の一生は。

果たして。


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彼女=クラスメイト。
あの人=彼女の母親。

四度目の投稿です!スペースありがとうございました!

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