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森のフォーラム

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蜂蜜少女
みなみ
[ID:megalomania0]
 ベランダに垂れた二枚のカーテンの隙間から、朝の日差しが零れ入ってくる。直線を描いて降りてきた日の光を、彼女はその体で受け止める。彼女に侵入した光は、彼女の中で幾度も乱反射し、数え切れないほどの冒険を終えてやっと体外へ漏れる。それによって、彼女の美しい、黄金色の肌が輝いて見える。
 信じられないことだろうけれど、彼女の皮膚は、甘い。
 濃密で溶けるような甘みは、唾液を一瞬で支配して、次に口の中全体に回る。歯の隙間全てを埋め尽くし、舌の奥の奥まで浸透して、喉から伝う食道、気管までをその甘みで浸してしまう。
 香りは鼻腔をくすぐり、鼻の中とは言わずにその表面までも包み込むようにして、僕に香りを届ける。鼻だけじゃない、脳自体がその香りを鼻同様に感じている。脳が理解するのではなく、刺激としてその香りを掴む。
 黄金色で出来た彼女の体は、つまり蜂蜜で出来ていた。体の奥から溢れ、流れることを止めず、常に彼女は蜂蜜を生成して生きている。質量保存の法則を一切無視して、彼女の内側から生まれる蜂蜜は、芳醇な香りと甘みを含み、流れることをやめない。
 彼女の頭の天辺から溢れ生まれた蜜が、髪を降りて頬を伝い、首筋へ流れ、鎖骨にたまり、なだらかな胸の曲線を描いて、その天辺にある乳頭を滑る。柔らかい腹部の中心、臍を経て、腰を下り、下腹部の繁みで幾つにも分散し、両の脚の間にて再び巡り合い、脚を伝い指の隙間に落ちていく。
 毛の一本一本から、眼球に至り歯を含み、骨の髄から内臓の全て、巡る血液までもが彼女は蜂蜜で出来ていた。形を保つ構造は不明。生命を維持する方程式すら未知。彼女が何処から生まれ、如何なる理由で蜂蜜であるのか、それは誰にもわからず。ここにこうしていること自体不思議なことであるが、僕はそんな些細なことはどうでもよかった。
 彼女の肌を舐め上げる。溢れた蜂蜜の全てを丁寧に、舌で掬い取っていく。液体である彼女の肌の形を保ちながら、表面を滑る蜂蜜のみを食すのは、如何せん難しかった。
 彼女がくすぐったそうに眉をひそめ、笑った。その表情の可愛さに、僕は嬉しくなって、少しずつ舐め取る量を増やしていった。舌に力を入れすぎず、前歯を当てないように、彼女の肌に舌を這わせていく。脇腹から脇にかけて舐めあげると、彼女は大きく体を揺らし、ケラケラと笑った。
 長い髪を揺らすと、毛先から蜂蜜が雫となって宙に散った。その黄金の雫が太陽の光に投げ出され、一瞬大きく輝いた時、まるでこの世界中が輝いたかと思えるほどに眩しく、僕の瞳を惑わせた。
 指先から肩にかけて、少しずつ、速度を上げず、焦らず、ゆっくりと舌を這わせる。舌が掬い上げた蜂蜜が口内に溜まり、僕はその甘さで眩暈を起こしそうになった。肩から首筋を経過した舌を、彼女の唇に持っていく。
 世界で一番甘くて、世界で一番美しいキス。彼女の唾液は全て蜂蜜であり、蜂蜜に犯された僕の唾液もそれ同様の甘さがあった。小さく、甘いと洩らした彼女。頬を染めても、その色は黄金でしかなく、けれど、はっきりと僕には、彼女が今耳まで真っ赤に顔を染めていることがわかる。
 永遠に美しく、永久に甘い僕らの恋は、何処までも黄金色だった。

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