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森のフォーラム

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Re:短編小説
虎縞
[ID:tigerhalfowl]
=キメラマチック・ツイン=

 二人は双子だった。男の子と、女の子の双子だった。
 中学に上がる前、他の子供達と同様に生まれて初めての入念な身体検査を受けた。
 その後検査の結果を聞きに、父親は病院に行った。
「特に、健康上問題のある点ではないのですが」
「何か?」
「お父様はお二人の血液型はご存知ですか?」
「O型ですね、二人とも」
「だからこそ発見されていなかったのだと思いますが、二人は遺伝学上で言う、キメラというものです」
「キメラ……」
 双子は血液キメラである。
「多胎児に起こり得るのですが」
 健康上問題はない、と念をおして医師は血液キメラという状態を説明した。
 話は、二人が胎内にいた頃に遡る。
 双子は一つの胎盤を共有して成長していた。胎盤は自分で血液を造れない胎児に代わって血液を作り、二人に送り込んでいた。胎盤にはそれぞれの血液の元となる細胞がある。やがてそれぞれの体に移り血液を自発的に造る為に、遺伝情報を乗せたその細胞は混ざらないようになるべきである。
 ところが、二人の血液を造る細胞は一つだけの胎盤を通しているために移動可能なものなのだ。
 男の子は女の子の造血液細胞を発達途上の骨髄の一部に定着させ、女の子は男の子の造血液細胞を同じくその骨髄の一部に定着させた。そうして生まれた双子は、入れ違いになった造血液細胞を動かし、互いの血液を常に混ざり合わせている状態になった。
 一つの遺伝子を持った個体の中に違う遺伝子の細胞を存在させている事を、キメラという。
「……問題はないんですか?」
「問題はありませんね。お二人の場合ほんの少しずつですし、そうなってしまっている多胎児のペアは驚くほどの割合ではありません」
 それ以外に特筆するような異常も無い、と聞いて、父親は不思議な気分で家に帰った。
 家に帰ると、双子がいる。女の子は反抗期が始まっていて、挨拶もそこそこだった。
 この二人はそれぞれの一部を少しずつ同じくした双子だ。
 運命という言葉を、父親は久方振りに噛みしめていた。



…………………

 お久しぶりで、こんな話です。ウィキペディアで血液キメラというのを見て、あぁなんか書かなきゃと思ったので。

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