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Re:短編小説
ねこかぶり
[ID:07190328]
雨。
学校の屋上、ただ私は灰色の空を見上げる。
傘はささない。
ぽつりぽつりと頬を濡らすそれは、やがて全身に打ちつけるようなものに変わっていった。
髪からは滴が滴り落ち、夏服も水の重みを体に伝える。
アスファルトの、濡れた地面の匂いが辺り一帯に立ち込めた。
それでよかった。
これだけ土砂降りならわたしが泣いていることもきっと、誰にも分からない。
それでよかった。
それがよかった。
「なに泣いてるんだよ」
ふっ、と私の上の雨がやむ。
違う、開いた傘を差し出されたのだ。
「なんで……」
「お前が泣いたら雨が降るんだよ」
彼は笑って答えた。
変な理由。
本当に変。
私は笑った、泣きながら笑った。
どちらの笑顔が連れて来たのか。
どちらの笑顔も連れて来たのか。
「____変なの」
いつの間にか、空はお天気雨。
今構想を練っているお話の一部分です。
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